2012年衆院選対応「未来選択」新サイトオープン
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有識者アンケートで浮かび上がった「麻生政権の100日評価」と「日本の政治」 麻生政権は2009年1月1日に発足後100日を迎えました。どのような政権も、発足後100日を過ぎれば有権者による厳しい監視にさらされなく てはなりません。その立場から、言論NPOではマニフェスト評価の一環として2006年の安倍政権から、「100日評価アンケート」を行い、その結果を公 表しています。今回の麻生政権の100日評価は、安倍政権、福田政権に続き3回目になりますが、今年は衆議院の解散・総選挙が行われる年でもあり、設問は 麻生政権やその政策課題の評価に留まらず、現在の政治状況や政界再編などの課題についても行われています。 期待も支持も安倍、福田両政権よりかなり低い「麻生政権の100日」 今回の調査でまず浮かび上がったのは麻生政権に対する非常に厳しい見方です。100日時点の「麻生政権」の支持率は11.0%に過ぎず、「支持し ない」という回答は70.8%に達しました。これは、100日時点の過去の安倍・福田両政権の支持率(安倍政権:24.0%、福田政権:31.9%)と比 べてもかなり低い水準です。 こうした麻生政権の支持率が急落している原因(いくつでも回答)については、「発言面での失点が続き、リーダーとしての重みを感じないから」とい う回答がもっとも多く、60.1%となりました。ついで、「定額給付金など、実効性のないばら撒き型の政策を行おうとしているから」が55.1%、「経済 対策を優先するといいながら、政策決定にスピード感がないから」が54.8%、「党内や政府内をまとめる指導力が不十分だから」が53.2%とそれぞれ 50%台で並んでいます。
首相の資質は、5点満点で1.8点と評価は最低 次に、麻生政権の100日時点までの政権運営や業績評価に関する設問では、まず、内政問題・外政問題の評価について質問したところ、「いずれも評 価できない」との回答が58.7%と6割近くを占めました。特に内政問題に関する実績を評価する回答はわずかに1.7%にとどまる一方で、外政問題につい ては15.2%が「評価できる」と回答しています。 今回の評価では、この首相の資質を問う8項目の評価を5点満点で点数化してレーダーチャートで表示している。8項目の平均は1.8点であり、これ は福田政権の平均点2.3点、安倍政権の2.2点よりもかなり低く、人柄だけは2.5点(福田政権は3.4点、安倍政権は3.3点)と2点台ですが、他の 項目は全て1点台となっており、全ての項目で福田、安倍政権の点数以下になっています。 特に「首相の政策決定におけるリーダーシップや政治手腕」では回答者の81.3%が、「首相としての見識、能力や資質」は79.6%、「国民に対 するアピール度、説明能力」では79.0%とそれぞれ8割程度の人が、「よくない」あるいは「ややよくない」と回答しています。 唯一プラスとマイナスの評価が分かれたのは、消費税増税を「全治3年」後に位置付けたことで、41.4%の人が「適切」あるいは「うまく対応できていないが、今後期待できる」と判断しています。
「早期解散」や「政権交代」への期待はかなり強い こうした麻生政権の100日評価を前提に、今回ではいまの政治の課題についても評価の一環で回答を求めました。まず衆議院の解散と総選挙の時期に ついては、「すぐにでも行うべき」が48.8%と半数近くを占めました。ついで「第二次補正予算案や09年度予算の目処がついてから」が25.6%で続 き、早い時期での解散を求める声が高まっています。 総選挙が行われた場合、政党が国民に説明すべき課題は何か(2つまで回答)という質問に対しては、「日本が目指すべき社会と改革の目標、そのため の道筋」が56.2%でもっとも多く、「国内の経済不況に対する緊急的な経済対策において国民生活の何を守るかという目標とその中身」が47.1%で続い ています。
日本の政治は新しい政治や政界再編の過程にある、との認識 一方、現在の日本の政治の現状をどう見ているか(2つまで回答)の認識については、「既存政党の限界が明確になり、政界再編や新しい政治に向かう 過渡期」という回答がもっとも多く54.5%となりました。これに「政権交代によって、これまでの政治を一度壊すべき時期」が46.8%で続いています。 一方、「世界経済の混乱に対して、政治が協力して取り組むべき時期」は31.7%、「日本の改革のビジョンや課題解決の競争によって、本当に二大政党制を つくりだす時期」は29.8%にとどまっており、日本の政治に対し、多くの人が新しい政治に向けての変化の過程にあるとの認識を示し、既存の政治を軸とし た見方は少なくなっています。 このように、現在の政治や既存政党に対する厳しい認識が広がっていることも明らかになっています。
民主党への期待ではなく、政治構造へのチェンジ(変化)に期待 このような政治への認識が高まる中で、民主党への政権交代に賛成すると回答した人は56.7%と半数を越えており、前回の福田政権100日評価での数値(43.1%)から10ポイント以上増加しています。 一方、民主党への政権交代に反対する人は21.8%いましたが、その理由としてもっとも多かったのは「民主党の政策も基本的にばら撒きで日本の未来に答えを出していないから」の49.4%でした。
日本の政治は、有権者との約束を重視しているかは疑問 現在の日本の政治がポピュリズム(国民の人気取り)に流れているのではないかという質問に対しては、現在の日本の政治にポピュリズムの傾向がある とする見方はあわせて7割近くになっています。ただ、その評価に関しては「ポピュリズムの傾向はあるが、他国の政治にも同じ要素があり本質的な問題ではな い」とする回答が36.1%、「ポピュリズムに流れており非常に危険」という回答が32.0%でほぼ並んでいます。 さらに、政党のマニフェストの作成状況や実行状況を踏まえ、日本におけるマニフェスト型政治の現状に関する認識を聞きました。これに対しては、 「各党のマニフェストは実際には従来の選挙公約と変わらず、国民との約束を軸とした政治を行おうとしているか疑問」という回答が半数以上の52.6%を占 めました。これに「マニフェストのブームは衰退し、政治家はマニフェスト型政治への関心を失っている」という回答が16.3%で続き、「各政党ともそれな りのマニフェストを提出しており、マニフェスト型政治が定着しつつある」という回答は14.6%に留まりました。
改革は必要だが、進め方には批判的な見方が強まる 次に各政策課題ごとの評価について聞いています。 まず、小泉政権下で始まった構造改革について現時点での考えについて聞いた(2つまで回答)ところ、最も多い42.7%の人が「まだ日本の政治構 造は既得権益を軸に構成されており改革途上」と答えており、既得権益の打破という視点では改革を評価する見方があります。ただ、「壊す改革だけで組み立て がなかった。新しい仕組みづくりに軸足を移すべき」が38.8%、「構造改革は社会の歪みを大きくしただけ」が34.2%、「必要なサービスの供給不足を もたらしたので公共の役割の見直しが必要」が32.8%と、これまでの日本での構造改革の進め方を批判する回答は多く、「改革の流れをつくったので、止め るべきではない」と評価する回答は18.5%にとどまりました。
日本経済の「全治3年」自体が信認を得ていない 麻生政権の経済政策についての考え方で、麻生首相が世界的な経済危機の中で日本経済を「全治3年」とし、財政再建よりも景気対策を優先して、その 後の消費税率の引き上げを主張したことについて聞いたところ、「そもそも経済対策の内容自体に、日本経済を回復させ次の成長を期待させる展望が見えず、 「全治3年」そのものが疑わしい」との回答が41.9%と最も多くなりました。ついで「姿勢は正しいが、経済対策の効果や増税の規模などについての十分な 説明もなく、約束を実現させる担保もないため、その実効性は疑わしい」が25.1%となり、「この経済危機下で当面は経済対策、然るのちに増税という形 で、景気と財政の問題を整理しながらも初めて増税を明言した姿勢は正しい」と評価する回答は17.9%にとどまりました。 続けて、「反対」「どちらかといえば反対」と回答した人に、その理由を聞いた(2つまで回答)ところ、「2兆円もの財源を使うなら、他にもっとや るべきことがあるから」との回答が78.2%と最も多くなりました。ついで「一時的な給付金では効果が期待できず、何のための政策か分からない」、「選挙 対策のためにカネで票を買おうとする姿勢に見える」との回答が46.8%、31.5%となっています。 最後に、道路特定財源の一般財源化についてですが、麻生政権は暫定税率を維持したまま、実質的に道路事業を確保した点に関して、「地方への道路整 備のための予算ばら撒きであり、一般財源化の趣旨に反するので反対」との回答が37.5%と最も多くなり、「道路整備のための特定財源制度はもはや不要で あり、暫定税率そのものを廃止し、道路利用者への重課税をやめるべき」が27.5%と続きました。 麻生政権100日評価座談会 言論NPOではマニフェスト評価の一環として「麻生政権100日評価」のアンケートを実施していますが、それと連動する形で「100日評価」に関する座談会が12月22日、都内で行われ、中谷元氏(衆議院議員、自民党)、仙谷由人氏(衆議院議員、民主党)、添谷芳秀氏(慶應義塾大学法学部教授)、若宮啓文氏(朝日新聞コラムニスト)の4氏が参加しました。司会は、言論NPOの代表の工藤泰志が務めました。 |
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